梅雨の時期になり、2023年入社の社員も各部署に配属されてから、
1~2カ月が過ぎたことと思います。
そろそろ新入社員の顔に曇りが出てきたのではないでしょうか。
毎年、この時期には新入社員の退職の話が聞こえ、「やる気がなかった」
「向いていなかった」というような話が聞こえてくるようになります。
しかし、会社としては採用コストを払って迎えた貴重な人材。
なぜ、辞めるに至ったのかの分析の中で、頭を悩ませていると思います。
そんな方に、現代での新入社員がかかえている悩みと対処方法を書いていきます。
悩み① 先行イメージと現場のギャップ
採用面接や新入社員研修で、近年多くの会社で次のような言葉が多く使われています。
- 心理的安全性
- ワークライフバランス
- クオリティーオブライフ
これらの言葉はキャッチーなフレーズで、今の若者の心理を突いた言葉として便利です。
ただ、それらを多用すると、いざ現場に入った時、気持ちの部分でギャップをもたらします。
新入社員が配属される部署での多くの仕事は、基本的に地味なことの積み重ねです。
現場で必要な知識がまだ備わっていない新入社員はマニュアルから覚えることを要求されます。
その基礎があった上で、工夫を凝らして改善をしていったり、コミュニケーションをとる中で
会社の中に溶け込んでいきます。
ただ、最初のマニュアルを覚えるような作業においては、クオリティーオブライフのような
生活を豊かにする側面は感じにくく、心理的安全性も現場まで浸透していないことが多いので、
想定していた言葉とは違う強さや言い回しで間違いを指摘されたときに、『心理的安全性を害された』
『この職場では思い描いていた生活はできないのでは?』と思うようになります。
こうした気持ちが強くなっていくと、会社離れの要因になってしまいます。
なので、言葉のギャップが生まれないよう、抽象度の高いキャッチーな言葉を使う際は
概念であることに念を押し、その考え自体は尊重する姿勢を示すが区別する必要があります。
そして現場でギャップが生まれないように、現場のイメージができる状況を
配属までにしておく工夫が必要です。
悩み② 世代感覚の違い
いつの時代も新入社員への扱いは気を遣うものです。
ただそこに世代感覚の違いがあることの認識は必要です。
特に、今の40代半ばより上の人が重視しているのは「お金」。
日本のバブル期を幼少時や新成人の頃に迎えていた世代は、何よりもお金のことを大事に
する意識が強く、給料の為であれば、残業も休日出勤も厭わなかった世代です。
それよりも今の20~40歳までの人の中では、「お金」における執着は弱くなり、
「生きがい」のウェイトが高まってきました。
これらは、幼少期に何に困っていたか・何に憧れていたかを考えると良くわかります。
先の世代では、お金があればいい車にのれる、良い家電が揃う、好きなゲームが買える、
話題の場所へ旅行にいけるなど、『お金があれば何でもできる』印象が強烈に残っています。
その世代と反するのが今の若者の世代。
幼少期より、お金や物はある程度揃っている時代を過ごし、
必要なものはある程度満足できていました。
だからこそ、何のために勉強するのか、どこまでお金を得たら幸せになれるのかなどを
考えるようになり、ワークライフバランスやクオリティーオブライフの言葉に行き着いています。
それらの言葉は採用時には有効ですが、
ここで言いたいのは、このギャップの差を認識していないとせっかく入社した新入社員が
辞めていくことになるということです。
やるべきことは、上の「お金」を第一に考える世代の考え、当時の慣習を押し付けない事。
残業や休日出勤の働き方への改革は36協定などで国から管理が求められ、変化をしてきました。
ただ、各人の心にある感覚は、『理解』という工程を得ないと改善されません。
現場で働く上司や先輩にあたる人は、新入社員に対して、まずは『生きがい』を重視している
世代なのだという事を理解しましょう。
悩み③ 先端技術の躍進による変化
近年の先端技術の変化は著しいものがあります。
ChatGPTやその他の自動執筆AIの登場、自動でイラストや絵を描くAIなど
先端技術によって、多くの仕事が今後も変化を余儀なくされることが予測されます。
先端技術に比較的明るい若者世代の新入社員は、そういった情勢の中で
上の世代以上に不安を抱えています。
多くのルーティン業務は今後もRPAで機械にとってかわられるのであれば、
自分が時間を割くべき所はどこなのか考えるようになります。
そういった中で、仕事の習得の流れである、『地道なことからコツコツと継続し、
そのうち自分でできることが増え現場を任されるようになり、
その先に自分のやりたいことが見えてくる』というような
発想の流れは入っていきにくい現状があるでしょう。
時代の変化が速い事がもたらす弊害なので、対応としては
会社内でいち早く先端技術への取り組みを進める事だと考えます。
そうした上で見えてくる課題を新入社員と共に取り組めれば、
デジタルに強い世代の強みと、失敗しても取返しがつく若さが活かされ
言葉としてもそこにフォローが入れられたら、辞められるリスクは減ると思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
新入社員が離職することへの対応としてのまとめとしては以下のようになります。
●入社前後での抽象度の高い言葉のギャップを減らす
●”世代間の感覚の違いを認識した言葉”に対して会社全体での理解を高める
●先端技術へ積極的に取り組む会社の姿勢を新入社員に見せ一緒に取り組む
これらはあくまで現代での新入社員世代がもつ悩みへの対処ではあると考えますが、
一人一人の感覚は様々であり、「お金」に執着の強い若者もいますし、
先端技術に疎い若者もいます。
人間のグラデーションがある中で、画一的な対応の正解はない中、
上記の対応方法は、解決を図るベースとなるかと思いますので、
参考にしてみてはいかがでしょうか。